古河市立古河第一小学校改築事業

  • 所在地:茨城県
  • 竣工:2016年(平成28年)  
  • 用途:小学校 校舎、屋内運動場
  • 構造:鉄筋コンクリート造、鉄骨造
  • 階数:2階
  • 延べ床面積:6,718.84㎡

設計趣旨

古河第一小学校は古河城出城跡に位置し周辺には古河歴史博物館、文学館などがあり市街地におけ
る景観形成重点地区にある学校である。私たちは改築にあたり「歴史・文化が漂う緑に包まれた学校」
をコンセプトに、ワークショップにより地域住民・児童・先生方の意見・学校への想いを取り入れ、
「歴史の面影」「場の記憶」を残した地域の核となる学校づくりを目指した。
明治37年創立当初のままのレンガ造りの「赤門」(今回設計にて門扉を復刻)を中心に 中庭、
昇降口を配し高台に校舎棟を整備、西門からは堀跡の名残である敷地の高低差を利用し、
石垣の城門のように校舎の下をくぐり中庭へと導く。記憶にある木造校舎の妻入玄関や日本瓦切妻屋
根、レンガタイル、石積みは周囲の歴史的景観と調和し、良好な景観うるおいのある空間を形成した。
内部は杉の羽目板を基調に木ルーバーなど木を多用し木のぬくもりを感じる空間とした。
北側に位置する昇降口、廊下は、吹抜や天窓、ルーバー等により採光を確保し広く明るい活動空間と
し、中間期には吹抜や天窓による風通しの良い空間を作り出している。また教室や廊下より中庭や
テラスへの連続性を計画し多様な学習空間として拡がるように計画。
図書・PC教室は可動間仕切により一体的に使用でき連携利用を可能にしたラーニングゾーンを形成し
ている。続く多目的室は「出城ホール」と名づけられ開放的で明るい空間とし、古河歴史博物館や
渡良瀬川の土手を望む古河らしさを感じる一小を象徴する空間とした。
特別教室エリアは将来的な地域開放、災害時の利用を想定して管理エリアと区画できるよう配置動線
計画を行った。また広いテラスを近接させることにより実験や観察等の屋外授業に対応した。
階段は誰にでもわかるよう校舎の四隅に設置し、各々色分けし位置や移動空間を認識しやすいように
し安全性の配慮をした。
重要度係数を1.25に設定することにより耐震性の向上を図るほか、ハザードマップの予想される
水害に対し校舎棟は高台に配置することにより学校機能を維持させ、屋外運動場についても
避難所の機能を確保できるよう浸水深さ以上の床高さに設定している。
環境負荷低減、省エネ効果及び非常用電源としての防災機能確保のため蓄電設備を併用した太陽光
発電を導入した。

受賞履歴:
第30回茨城建築文化賞 議会議長賞
平成28年茨城県うるおいのあるまちづくり顕彰事業 グリーンリボン賞

撮影者:齋藤写真事務所 

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